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導入事例

市況予測を高度化し、リスクを勝機に。伊藤忠商事が挑む次世代電力AIプラットフォーム

伊藤忠商事株式会社

 【プロジェクトテーマ】
熟練担当者の相場観を形式知化し、市況予測の精度向上を図るハイブリッド型市場分析AIの開発

【取材にご協力いただいた方々】
  • 伊藤忠商事株式会社
    • エネルギー・化学品情報化推進室 室長 山地 様
    • 電力ソリューション部 マネジャー 廣川 様
    • エネルギー・電力ソリューション企画統轄課 芳賀 様
    • エネルギー・化学品情報化推進室 若尾 様

01. 本プロジェクトのテーマ:

個のノウハウを組織の武器へ昇華させる、総合商社ならではの電力AIプラットフォーム構想

伊藤忠商事株式会社 エネルギー・電力ソリューション部門が取り組むのは、電力ビジネスにおけるAIを活用したオペレーションの高度化と、リスク管理の高度化です。

同社には総合商社として多種多様な商材やポートフォリオを扱い、個人の営業力を高めることができる独自の環境があります。
しかし、その環境ゆえにノウハウや市場の解釈は各組織や各個人の中に留まりがちであり、効率化には至っていない状況でした。

本プロジェクトでは、個々人が有していた「暗黙知」を、AIを活用し、組織の力へと昇華させることに挑みます。
激変する電力トレーディング市場において、知見を繋ぎ、流動性と収益性を高める新たなAI基盤の構築を目指しています。

02. いまの課題、その背景:

膨大な変数と地政学リスクに直面する、属人的な市場予測からの脱却

現在のエネルギー市場は、地政学的リスクと密接に結びついており、価格のボラティリティや紐づくリスクが急速に増大しています。特に電力市場は、365日24時間、30分単位で商品が存在し、各地方に準じた取引エリアごとの変数や再エネ・化石燃料といった複数の要素が絡み合うため、価格・取引の掛け合わせでデータ量が膨大になるという構造的特徴があります。

これまではトレーダーの経験や一種の勘、あるいは人手による既存の統計予測モデルで対応してきましたが、過去にない突発的な事象が起きた際のデータ整理や、複雑なシナリオ策定を人の手だけで行うには、物理的に検討できる選択肢が狭められてしまう制約がありました。

また、日本の電力市場は毎年制度が刷新されることや事業者行動が変化するため、従来の経験が通用しない局面も多々生じるという課題がある状況でした。

03. 解決策と目指す姿:

市場の変化へ即座に適応する3つの具体的解決アプローチ

今回のプロジェクトでは、この難局を打破するために、以下のアプローチで変革を加速させます。

膨大な市場データとテキスト情報の統合による予測精度の向上

刻一刻と変動する膨大な電力価格データや各種エリアの変数に加え、これまでの統計モデルでは扱いきれなかった「過去のボラティリティの発生原因」や「価格変動を引き起こした市場の特殊要因(突発的な出来事など)」といった、生成AIが得意とするニュースやレポートなどのテキスト情報(言語・非言語情報)を掛け合わせます。
データ加工や整理の前提部分を最適化することで、変化の激しい市場でも納得感のある高精度な市況予測フローを構築します。

ベテランの「未言語化ノウハウ」の抽出とシナリオの自律判断化

レポートには残っていない、熟練トレーダーの頭の中にある「なぜこの局面で価格が動いたのか」という言語化されていない判断理由やノウハウを、ヒアリングを通じて抽出します。
これをAIに学習させることで、人間では想定しきれない複数の市場シナリオを瞬時に多量に作成し、それぞれの会社の異なるポートフォリオに応じたリスク管理を収益に直結させる自律的な判断体制へと繋げます。

トレーダーの評価を反映する高速なフィードバックループの確立

AIが導き出した予測結果とその判断ロジックをトレーダーが評価・補正し、その補正データを即座にAIへ再学習させる仕組みを整えます。
電力市場のルール変更に合わせて数ヶ月単位の再学習を待つことなく、少ないデータ量でも即座にモデルを切り替えて次の予測に活かせる高速な運用サイクル(PDCA)を回し、現場の手戻りや判断の遅れを最小限に抑えます。

04. 担当者様のコメント:

現場力とAIを掛け合わせ、新しいビジネスを生み出す文化を創る

「商社として、このAIを活用した取り組みを最終的に収益に貢献するものへ繋げていきたい、という思いが非常に強くあります。
当社の強みは個々の社員の行動力や現場力が非常に高いことですが、その個人の強いノウハウや前進させる力を、AIを架け橋にして部門を越えて集結させることで、もっと面白いビジネスが生まれる可能性を感じています。

これまでの経験や現場独自の行動力を大切にしつつ、AIをまるで自分の手足のように使いこなせる現場を増やしていきたいですね。
ストックマークさんのデータサイエンスと言語・非言語情報の技術、そして他業界で複数のプロジェクトを推進されてきたノウハウを掛け合わせることで、ビジネスの変化や技術の進歩に合わせてタイムリーかつスピーディーに拡張していけるような、新しい運用の形を一緒に作っていけることを期待しています。」

※記事内容および、ご所属等は取材当時のものです。

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