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導入事例

判断を支える“質の高い申請”をAIで実現。帝人が挑む輸出審査DXと法令遵守の両立

帝人株式会社

 【プロジェクトテーマ】
製品輸出管理における属人化間接業務の業務効率化とAI-Ready化

【取材にご協力いただいた方々】
  • 帝人株式会社
    • 炭素繊維事業本部 企画管理部 DX/AX戦略課 課長 佐野 郁 様
    • 炭素繊維事業本部 企画管理部 DX/AX戦略課 兼 品質保証・コンプライアンス部 サステナビリティ・コンプライアンス課 大澤 敬乃 様

01. 本プロジェクトのテーマ:

高機能素材の輸出審査申請業務をAIで支援、法令遵守とリードタイム短縮の両立へ

帝人が取り組むのは、AIを活用した輸出審査申請業務の効率化および属人化の解消です。製品や技術を日本国外へ輸出する際、顧客情報や用途の確認を行う「輸出審査プロセス」を通過する必要があります。ビジネスが多様化し、申請に必要な情報や記載する項目が多岐にわたる中、本プロジェクトでは、確実な法令遵守と出荷リードタイム短縮の両立による顧客価値の向上を目指します。

完全に自動化するのではなく、人の判断を前提としつつ、取引ごとの審査申請に必要な情報をAIで整理・可視化等することで確実性とスピードを両立するアプローチをとっています。

02.課題とその背景:

複数媒体へのデータ分散と人手による慎重な確認、リードタイム長期化の構造

当事業本部の輸出審査においては、適正な社内審査のため、申請書類作成の正確性や慎重さも重要であることから、申請資料の作成や事前確認に多大な工数が発生しており、申請・審査全体のリードタイムが長期化しやすいという課題がありました。同社ではこれまで一定の業務効率化を進めてきましたが、申請に必要な情報の整理や取りまとめ、確認過程における個別状況の補足といった工程は、依然として人手による対応に依存しています。

また、 担当者が変わっても常に最新の知識を高精度で維持し続けなければならず、継続的な教育や知識継承の仕組みづくりも課題となっていました。情報セキュリティ面への配慮も不可欠であり、これらが一律のデジタル化及びAI活用を阻む要因となっていました。

03. 解決策と目指す姿:

分散データの関連付けと実務に即したAI支援で、手戻りのないスムーズな審査へ

具体的な解決に向け、完全自動化を目指すのではなく、現場が迅速に効果を実感できるよう、アジャイルな姿勢で以下の3つのポイントに沿った仕組みづくりを進めます。

書類間差異確認とチェックリスト判定の自動化

「書類間の差異確認」と「チェックリスト判定」のAI支援を重点スコープとして検証を進めます。法令や社内規程、マニュアルを格納した共通の「ルールデータベース」と、案件毎にアップロードされる各種書類のデータをAIエージェントが突合し、これまで人が複数の媒体を確認しながら手作業で行っていた差異確認や情報整理の工数を大幅に削減することで、申請書類の作成及び確認工程のリードタイム短縮を図ります。

審査申請に関する知見・確認事項のデータベース化と過去事例の体系化により手戻りを減らす仕組みへ 

単なる定型検索にとどまらず、マニュアルと過去審査事例の双方からアプローチし、申請後の手戻りを低減することで申請~承認までのプロセスをスムーズに進める仕組みの実現に挑戦します。社内規程、マニュアルを一元化したデータベースと、現場のノウハウを蓄積するデータベースを構築。

これにより、これまで埋もれがちだった書類に記載する個別の補足情報や書類作成における熟練者の確認観点を体系化します。過去の知見をシステム側で可視化することにより、審査における手戻りを未然に防ぐことで、審査側の業務負荷も軽減させます。

「ヒアリングエージェント」による暗黙知の形式知化

現場に眠る暗黙知の形式知化に向けた「ヒアリングエージェント」を構築します。日々の業務の中で下される熟練者の判断や、運用上のルールを抽出し、日常業務の延長線上で自然に蓄積・形式知化する仕組みを設計します。

また、形式知化した知見を単なる蓄積にとどめず、実際の業務プロセスの中で活用される形に落とし込むことも重要と考えています。教育や業務手順と一体化させ、現場で自然に参照・活用される状態を実現するとともに、形式知の高度化と理解促進を一体的に進めていきます。

04. 担当者様のコメント:

技術力と経験の蓄積を礎に、人が本来時間をかけるべき判断へ集中する

「帝人の強みは、長年にわたり培ってきた高い技術力と、社会課題の解決に向き合い続けてきた歴史にあります。現場に蓄積された多くの知見や経験を生かしながら、顧客に提供する価値を高めてきました。AIはそれらを否定するものではなく、これまで培ってきた知見を生かすための手段だと捉えています。

AIの支援により人が本来担うべき技術的な判断や検討の質をさらに高めていきたい。今回の取り組みは全社でAI活用を進める第一歩であり、輸出審査に留まらず今後は対象業務を段階的に広げながら、AIと人が協調する働き方を実現したいと考えています。これまで手作業でじっくりやっていたものが一瞬で終わるような、明るい未来を現場に見せていきたいです。」

※記事内容および、ご所属等は取材当時のものです。

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