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導入事例

AIで一気通貫の品質保証へ。スズキが目指す次世代品質保証プラットフォーム

スズキ株式会社

 【プロジェクトテーマ】
品質DBと非構造化ナレッジの統合による、次世代AI品質保証プラットフォームの開発

【取材にご協力いただいた方々】
  • スズキ株式会社
    • 品質保証本部 四輪品質調査部 車両運動・ADAS品質課 岩島 寛弥 様
    • デジタル化推進部 データ分析推進課 大芦 信太郎 様
    • デジタル化推進部 データ分析推進課 齋藤 大地 様

01. 本プロジェクトのテーマ

開発・生産・市場の品質データを統合する、AI品質保証プラットフォームの構築

スズキ株式会社が取り組むのは、複雑な品質データと非構造化ナレッジを統合する、次世代のAI品質保証プラットフォームの開発です。

同社には、大きく分けて開発・生産・市場という3つの品質ステージがあり、それぞれ独立したシステムで膨大な品質データを管理しています。これまで、複雑な案件や多角的な分析が必要なケースでは、システムごとに横断的な調査を行うため時間を要してしまう状況がありました。

今回のプロジェクトでは、これらのデータをAIにより統合し、過去の不具合事象や対策に関する知見を、これまで以上に迅速かつ横断的に引き出せる環境を構築します。これにより品質問題の早期解決や開発段階での再発防止策を両立させ、次世代の強固な品質保証体制の確立を目指します。

02. 課題とその背景

部門横断でのデータ活用と、調査プロセスのさらなる高度化

製造現場や市場で発生する品質問題は、一刻も早い解決が求められます。原因特定から対策を講じるまでのプロセスには、調査の精度とスピードの両立が不可欠です。また、同じ品質問題を発生させないため、有効な再発防止策を熟慮して開発ステージに落とし込むプロセスが極めて重要となります。「より迅速に」「より精度よく」を高次元で実現するため、以下のような課題があります。

部門間で異なる用語体系への対応

同じ一つの事象でも、立場によって使う言葉が異なるなど「言葉の揺らぎ」があるために、例えば、開発者が市場や生産のデータを検索する際に、期待する情報へたどり着くまでに時間を要するケースもあり、特に若手を中心として情報探索に時間がかかりやすい状況が発生しています。

データ同士の「文脈」の把握

不具合の原因特定や再発防止案の策定において不可欠なのは、過去の事象が「最終的に何が原因で、どう解決に至ったのか」という一連の経緯、すなわち文脈です。

一方で、記録の多くは自由記述のテキストであり、単純なキーワード検索だけでは、必要な情報へ効率よく到達することが難しいケースもあります。その結果、技術者は膨大なレポートを読み込み、関連情報を整理・照合しながら調査を実行しなければなりません。

部門ごとに蓄積されたデータの横断活用

再発防止案の策定には、技術者が前もって「生産工程で何が起きているか」「市場でどのような事象が起きているか」を正しく把握することが不可欠です。しかし、現状は開発・生産・市場の各部門に散在するデータを横断的に検索する必要があり、その精度とスピードが属人化している場面も見受けられます。

現場で長年磨き上げられてきた「不具合を読み解く力」をいかにデジタル化し、知見を自在に引き出すことができるか。その実現が重要なテーマとなっていました。

03. 解決策と目指す姿

今回のプロジェクトでは、この難局を打破するために、以下のアプローチで変革を加速させます。

「部門の壁」「言葉の壁」を越える横断検索

部門ごとに異なる用語の関連性をAIに学習させます。これにより、言葉の揺らぎを吸収した横断検索の実現を目指します。さらに、将来的にはRAG(検索拡張生成)を活用し、社内の過去事例だけでなく、物理的な原理原則に基づいた知見までをAIが探索し、技術者の考察を深める仕組みを検討します。

検索では埋もれていた知見を、AIで体系化

単なる検索ツールの構築にとどまらず、必要な知見をより効率的かつ的確に引き出せる仕組みの実現を検討します。例えば、不具合の履歴、原因、対策、そして最終的な帰結をAIがサマライズし、一つの「まとまった知見」として提示することで、技術者が手動で行っていた「社内に散在している関連情報を繋ぎ合わせる業務」を自動化し、次に取るべきアクションの精度を引き上げることに挑戦します。

不具合の早期解決やより精度の高い再発防止の実現に向け、組織横断で知見をより効果的に活用できる基盤づくりを目指します。

04. 担当者様のコメント

「品質問題を前にした時、私たちは常に『早期に原因を究明し解決する』『二度と同じ不具合を繰り返してはならない』という覚悟と、強い危機感を持って向き合っています。一方で、複雑に絡み合ったデータを読み解く過程で、どうしても解決までに時間を要してしまう歯がゆい経験もありました。

今回の挑戦は、いままでのプロセスをAIで強力にアシストし、いち早く原因・真因を突き止めること、そしてそもそもの開発段階からより高次元で不具合を『未然に防ぐ』体制を築くことにあります。AIを活用したこのような活動が、次世代品質保証の新たな一歩となると信じています。

スズキの地元である浜松には、昔から『やらまいか精神』という、まずはやってみようという文化があり、スズキも創業以来その精神が社内に浸透しています。AIで業務を効率化するのは当たり前の世界で、AIの活用によって生み出される貴重なリソースを、この『やらまいか精神』をもってお客様の期待を遥かに超えていくための創造的な時間へと投じていきたいと考えています」

※記事内容および、ご所属等は取材当時のものです。

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